やねだん芸術祭での日々
ゴールデンウィークは、鹿屋市柳谷(やねだん)集落の芸術祭に行ってきました。 やねだんの本拠地の柳谷集落は「行政に頼らないむらおこし」をして注目されている所です。
空き家対策として、「迎賓館」と名づけた家に格安家賃で芸術家に住んでもらったりされています。
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イベントは5月4~6日だったのだけど、4月27日位から全国のアーティストがやねだんに集まって合宿しながら集落の中で制作を始めるという企画だったので、私も少しだけ早めの5月1日からやねだんに行ってきました。
集落に伝わっている踊りがあると聞いていたので、
集落の踊りを習ったり踊りにまつわる話を聞いて発表できたらいいなと思いつつ、それが無理でもなんらかの形でイベント中に踊らせてもらえたらいいなと思っていました。
わたしは大学生の時に人類学のゼミに入っていて盆踊りの調査をして卒論を書いたのですが、その時にやった参与観察という『実際にやってみて感じたことを発表する』という手法と舞踏をうまく合わせて自分の作品にできないか という気持ちがあったのです。
さて、やねだんでの踊り探しを始めた滞在二日目の話から。
午前中は新しい迎賓館になる空き家の整備を手すきの人総出で手伝うことになった。
家の周りの立木をチェーンソーで刈りまくって軽トラで運搬したりなど大掛かりな作業だった。私は子連れでほとんど役に立たなかったけれど・・。
家の中に残っている荷物の片付けもした。
掃除機、布団、トイレブラシ、工具、靴・・
かつて住んでいた人がいた時そのままになっていた暮らしの匂いが残る物たちを縁側に集めていく。
こうやって大きな労力を惜しまず払うことで柳谷の空家活用が可能になっているんだということが目の当たりに出来たのでよかった。
午後には、やねだんで陶芸をしながら生活しているムラさんにやねだんで踊りに詳しそうな方のお家に案内してもらった。
ユゲちゃんという福岡から来ていた作家さんと一緒に。
残念なことにその方は体調がよくなくてお会いできなかったのだけど、
そのついでに集落の中を案内してもらいながらこぼれ話を色々と教えてもらった。
「ここの人は軽石を使う仕事をしてるから玄関先に大きい軽石が飾ってあるんだ」とか、「ここの塀やバス停は作品の素材に使ったらすごくいい」とか、住んでいる人だから見えることを色々教えてもらって楽しかった。
そして「ここの木立がすごくいいんだよ」と言ってムラさんが細い道をずんずん歩いていくのについていって、ちょっとした林のような場所で樹を見上げたりしていたらそこに面したお家に住んでいる70代くらいの女性が「誰かと思った。びっくりしたー」と言って出てこられた。
その方はムラさんと顔見知りのキミエさんという方で、「上がってお茶でも呑んでいかんね」と言ってくださるのでありがたく玄関先にお邪魔することに。
そして色々なお話しをしながら『小豆と金時豆の中間くらいの豆』を甘く煮て冷たく冷やしたものや、手作りの梅干しやラッキョウ漬けなどをお茶と共にごちそうになった。
こんな美味しいもの世界中にそうない、と思った まじで。
キミエさんのお宅の隣のお家の人は先日亡くなったようで、空き家になったばかりだそうだ。
庭先の菖蒲の花などがまだ美しく咲いていて、住んでいた人の家を大切にしていた思いの片鱗がまだ生きて残っていた。
そのお宅の庭先に壊れて閉じなくなった傘があったので、私は踊りに使わせてもらおうと借りていくことにした。
キミエさんは踊りについての話もしてくれた。
キミエさんがお嫁に来た56年前頃には「八月踊り」という踊りがあったのだという。
それはお盆の頃に踊られていたもので、30年位前からは途絶えているのだそうだ。
数え歌や三味線や胡弓の楽団がやぐらの上で演奏をして、
その周りを踊ってまわるというものだったらしい。
踊り手の男は紋付袴を着て、女は裾模様という黒紋付に裾に模様があるお嫁入り用の着物を着て、目だけ出す覆面をして踊ったもののようだ(覆面の話は他の方に聞いた)。
わたしはそれを聞いて「その踊りをぜひ習ってみたい!」と感じ、
習うのが無理でもどんな踊りだったか触れてみたいと思い、
「今でも踊れる方はご存知ないですか?」とキミエさんに聞いてみた。
すると「館長さん(村長さん)のお姉さんは三味線を弾いていたからわかるかもよ」と教えてもらった。
おぉ!と俄然盛り上がるわたし。
それでさっそく館長さんに聞いた所
「踊りがわかるのは○○さんがいるけど少し痴呆症になっているからなぁ。今回は時間もないから無理だろう」
とのことだった。
残念だったので他の人にも聞いてみたけれど道は開けず、実際日にちが残っていなかったので今回は踊りを習うのは諦めることにした。
やはりその土地に余り残っていない踊りを習うには最低1ヶ月の時間をかけるアプローチが必要だろうなと感じた。
でも踊りを覚えている人はもう80歳すぎの人だけなので、
近い将来には踊りを踊れる人が全くいなくなってしまうのだろうと思う。
もし機会があればいつかまた八月踊りにアプローチをかけてみたいと思う。
そして、やねだんには棒踊りという踊りがあることもわかった。
この棒踊りは今でも毎年2月に踊られているものだ。
主に子どもや大人の男性が踊るそうで、豊作を祈願して、集落の家を一軒一軒回って家の前で踊り、お布施をもらってまたもう一度踊ったり、酒を呑みながら踊ったり、となかなか楽しそうなお祭のようだった。
踊りで唄われる歌の内容はどうやら少し女性をバカにした内容のようだ。詳しい内容が気になる*
この踊りは知っている人が多いので教えてもらおうと思ったのだが、みんなイベントの準備に忙しくて結局これも教えてもらわず終いだった。
棒踊りの時期にまたやねだんを訪ねることが出来たらいいな、と思う。
そういう訳で集落の踊りを習うことはできなかったけれど、話を色んな人に聞いてみたことはやってよかったなと思う。
そして、5月4日の夕方、メインイベントの後に萩原さんという方が作品を展示している畑で踊らせてもらうことになった。
その畑は近くに田の神さまがいる神社があったので、
神社でお祈りをするところから踊りを始めることにした。
鹿児島の色々な所にいらっしゃる田の神さまは、素朴だけど力強さがある神さまたちだ。
スウェーデン人の作家さんにピアニカを弾いてもらったり、
以前も共演させてもらったことのあるミュージシャン方に太鼓や鳴り物等いろんな楽器を鳴らしてもらったり、
仲間の舞踏家さんにも踊ってもらったり、と贅沢な舞台設定になって、
日暮れ時の雰囲気もよく、畑の土や草は生きていて、
色んなものに力をもらった その時にしか成立し得ない踊りの時間をいただけました
みなさんありがとうございます の一言でした。
メインイベントは落語や舞踊やカポエイラなど、面白い演目目白押しでにぎやかでした。
集落のあちこちに展示されたアーティストの作品も観てまわり審査されたりもしてました。
集落の風景に溶け込む展示の数々は『新しい風景』を作り出していて、
「そこにあるものと一体になってつくりあげるということ」について見せてもらったように思う。
特にセキトさんの川を舞台にして畳と竹を素材にした大掛かりなインスタレーションを作るのを少し手伝って、それが完成・成立する瞬間を目の当たりにできたことには感動した。
その作品はその空間を明らかにそれまでと別次元に生まれ変わらせていて、素直に『凄いな』と思った。
イベントの演目の一つだったカポエイラはブラジルの踊りで、最近ちょうど気になっていたものだったのでここで出逢えるとはとびっくりした。
カポエイラは武術と踊りが融合したようなもので、
少し踊りを教えてもらったら、常に相手に対して構えをしたまま動き続け緊張感を失わない踊りの構築がされていて、
『こんなのもあるんだ!』といい刺激を受けることが出来ていい経験だった。
これは、カポエイラを習う間娘をみててくれたリエさんのおかげです。
感謝・感謝でした。
その日の夜は広場で焚火をしながら宴会だった。
おうどんや、あくまきや、しっとりふくれ菓子(米粉製)、巨大はまぐり焼きなどなど美味しいご飯がいっぱいでした。
キャラクターあふれるダンスやら、
しっとりとした美しいベリーダンス&タブラやら、
切ないギターの弾き語りやら、
焚き火を囲んで民俗芸能について話したり「仲間ってなんだろうか」という真面目な話をしてみたり なんだか素晴らしい夜だった。
踊りをみてくださったヤナギダさんという方から、
「衣装に使ってください」とオーガニックコットンの布をたくさんいただいたりもしてものすごく嬉しかったです
布をもらったことというよりも、それを衣装に使ってほしいと思ってくださったその方の気持ちがなによりも嬉しいことでした
そしてわたしの滞在最終日は鹿屋のジェンベチームによるジェンベワークショップが行われました。
太鼓を聞いてのりのりで踊りだす人たち。
そしてなぜかジェンベチームのメンバーの女性が沖縄出身だったために三線で唄のライブも始まった。
ビギンの「島んちゅの宝」という唄など、高音の美しい歌声に思わず涙がこぼれてしまった。
なぜかわたしはどこに行ってもやはり沖縄に出あってしまうのだな と思った。
それは嬉しいことなのだけれど。
お世話になったご夫婦の美味しいカレーをいただいて、空き家からお借りしていた傘を感謝してお返ししてから、みんなにお別れした
・・すごい濃い日々でした 帰り道の車中で突然熱を出したのは緊張の糸が切れたからだったのでしょう。
やねだんで得たことを 大切に大切に これからにつなげていきたい
そう、思っています!
写真は私が踊らせていただいた畑での萩原貞行さんの展示です*
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